法人化
これまでにも法人化する事で個人事業よりも節税効果が高いと言う事には触れてきましたが、この章ではもう少し詳しくその事について記載していきます。まずは所得税について見て行きましょう。個人事業の場合は事業主への給料は必要経費に出来ません。つまり、そのまま事業所得の課税対象となります。
しかし法人の場合事業主への給料が経費として計算されるので、給与所得とみなされます。給与所得は事業所得から控除されるため、年収分から一定割合の金額が控除される事になります。この部分が節税分となります。
しかし一人法人の場合は役員報酬の一部損金不算入制度が導入されました。これによって事業年度の売上げが1600万円以下の事業規模の小さい法人の場合は影響が少ないですが、年間の売上げが1600万円以上あり、給与所得を多く支給している会社の場合、影響が出てしまいます。
次に退職金について見て行きたいと思います。法人の場合は生命保険を利用して事業主の退職金を準備する事ができますが、個人事業主の場合、事業主への福利厚生は必要経費として認められていません。法人だとなぜそれが可能かと言うのは経営者を被保険者として法人契約の生命保険へ支出する金額を経費と見なされるからです。
更に個人で加入する生命保険は所得控除の対象(年末調整)となります。つまり、事業主と個人との両方の生命保険加入で更に節税効果が高まるのです。次に欠損金の繰り越しについて見て行きましょう。事業で欠損金が生じた場合、個人事業の青色申告では3年間の繰り越しが認められています。
これに対して法人の場合は7年間欠損金の繰り越しが認められているのでその期間差分の利益の圧縮が出来るという訳です。次は減価償却についてです。個人事業の減価償却は強制償却と定められていますが、法人の場合は任意で行う事が出来ます。ただしその際には限度額が決められていて、減価償却が0と言うのは会社法上は違法となります。
しかしそれを超えなければ黒字決済の時に減価償却をする事で利益の圧縮を行う事が可能です。次いで消費税についてですが、資本金が1000万円未満の法人であれば設立事業年度と翌事業年度の2期分の消費税の納税義務を免除してもらう事が可能です。個人事業の場合は売上げが1000万円を超えたらその2年後から消費税の納税義務が生じます。
消費税だけを見れば事業規模が小さいなら個人事業の方が有利と言えますが、資本金が1000万円を超えるような利益が出た場合には2年後には納税義務が生じてきます。それを少しでも回避するには納税が発生する年度に個人事業を廃業して、資本金1000万円未満の会社を設立して更に2年間の納税義務を回避するやり方があります。これを法人成りと言います。
最後に交際費についてお話ししましょう。交際費に関しては個人事業の方が有利と言えます。なぜなら、個人事業なら交際費を経費に計上出来る上限が定められていないからです。これには取引先との飲食代なども含まれています。従業員を引き連れての慰労会や接待ゴルフなども全て経費として計上できます。
ところが法人の場合は年間400万円を超える交際費は経費として認められていないのです。ただし、個人事業であっても事業に関係しない交際費は必要経費とはならないので注意してください。